「美月ちゃんのこと考えてるの?」



翠が言う。



「……」



「やっぱり…」



海なのに波の音が聞こえない。



私の耳には翠と彰悟君の声が聞こえるだけ……。



私の知らない彰悟君を翠は知っている。



なんで?



どうして??



学校で翠と彰悟君が話してる姿なんか見たことなかった。



なのになんで翠は同じクラスの私より彰悟君と仲良さそうなの??



「あのとき…俺は一番大切なもんをなくしたんだ。俺のせいで……」



「違うよ。あれは彰悟君のせいじゃない」



「俺のせいだ」



「違う!!」



翠は彰悟君を抱きしめた。