「どうしよう……」


いくら草をかき分けても、いくら目を凝らしても校章は姿を見せてくれなかった。


初日からこんなのだなんて、なんだか運が悪い。

幸先悪い気がして気分が下がっていた──そのとき。


──ガラガラ…

「…どうしたの?」


後ろから窓が開く音とともに、透き通るようにきれいな男子の声がした。


驚いて思わず肩が上がる。

ゆっくりと振り返ると、知らない男子生徒が窓の向こうに立っていた。