さすがにもう市川くんはいないだろう。
そう思って教室に入ると⋯⋯いた。
ちょっとビックリして肩がビクッとなった気がしたけど多分気づかれてない。
市川くんはさっきと同じように私の席の前に座ってる。
市川くん友達多いし誰か待ってるかもしれない。
それしかないよね。
そう思って無言で鞄を持って教室を出ようとすると⋯⋯
「え、待ってよ一緒に帰ろ」
えっと、え?
「あの、なんで?」
「んー、なんででも?」
なにそれ。
「別に一緒に帰らなくて大丈夫だけど」
てか、一緒に帰りたくない。
なんで苦手な人と一緒に帰らなきゃいけないの。
「でも、俺は一緒に帰りたいんだよね、だから一緒に帰ろ」
そう言って私の隣に並ぶ。
なんて強引なんだ。

