小さい時に両親は他界した。

だからおばあちゃんに過保護に箱入り娘のように育てられた。



「結菜(ゆいな)はお母さんに似て可愛い顔をしているし、お父さんに似て背がすらっとしているからモデルさんみたいだね」




この言葉を毎日言ってもらって、そうなんだって信じて疑わなかった。


「ゆいは大きくなったらモデルさんになるね!おばあちゃん!」



優しく笑うおばあちゃんにそう言って、私は大きくなった。



高校も主席で卒業して、夢だった都内の大学。
大きなキャリーケースを転がして、キラキラ光るアスファルトの照り返しを肌で感じる。



憧れの両親が出会った大学に足を踏み入れた。



これから待っている大学生活に期待を込めて。



だから、自分がとんでもない大学生活になるなんて思わなかった。