ゆなは普段酒に強い。でも付き合い始めた頃、ユウにバレた頃は疲れてたのか凄く酔ってたことがあって。

「…ゆな、酔いすぎ。」

「…りょぉくん…?なんでおこるのぉ?やさしくしてよぉ…」

ふぇえぇ

え、可愛い。どうしよう。

「強いからって呑みすぎた?」

「ねっ、りょぉくん、こっちきて?」

ぱふぱふ。

自分の席の横をポンポンっと叩いて、隣に来て欲しいと言うゆな。

「?どした?」

そもそも"りょぉくん"て、(笑)いつもそんな甘えた呼び方したことないくせに。(笑)

ストン

断れるわけもなく、酔いに酔ったゆなの隣に座ると

こてん…

すぅ…

「え、ちょ、待っ…ゆな?寝…」

安心したのか、もたれ掛かって寝てしまった。
これはズルイ。ゆなは結構胸ある方なのに、そんなにもたれ掛かったら谷間見えてるから。無防備すぎる。

はあー…っ

「どうするかな…」

ゆなの無意識の誘惑に耐えられずにいる中、高校の時の同期から電話がかかってきた。

prrrrr…

…丁度いいし気紛らわせとこ…

「もしもし?何?」

《凌?今さぁ、いつものメンバーで呑んでるけど来る?》

「あー…ちょっと今日は」

チラ

もたれ掛かって寝てしまったゆなのほっぺたを触るとふにっとして気持ちいい。

《何?そんな外せない用事?あ、彼女と予定でもあんの?》

「いや、その彼女が今めちゃくちゃ無防備な状態でもたれ掛かって寝てるからそれどころじゃない」

《は?!チャンスかよ!》

『助けてくれ、ただでさえ可愛いのに酔ってこんな可愛いのはズルすぎる」

《手出したらダメそうな感じ?》

「いや、別に、多分、?…あ」

起きた。

「…?んう…りょぉ」

ばっ

むぐ…

声がまず可愛すぎるからすぐに見にいきたいだの言い出してうるさいだろうから、と思いゆなの口を軽く手で塞ぐと、寝惚けているゆなは状況がわからずすでに涙目。

《ちょっ、今の声…まさか彼女の声?は?可愛っ…》

じっ…

「っンぅ…っ?涙」

涙目で見つめてくるのなんかエロいな…
しかも俺の胸あたりの服ぎゅっと掴んできて上目遣いになっちゃってるの無理(笑)

《…いや待って可愛すぎない?え?もっかい、》

「今のは忘れて」

手を離し、指を立ててゆなに静かに、と伝えると、涙目のままこくこくと頷く。

《いや絶対お前口説いて口説いて捕まえたんだろ、?その声で天然ちゃんで顔も可愛いのは普通はいねえよ》

「あ、彼女褒めてくれてんの?もちろん口説きに口説いて捕まえた彼女だよ」

《お持ち帰り希望しまーす。2人?》

「2人きりってこと?2人だけど」

《その子モテるだろうな》

「まぁ…素直に可愛いしモテるなぁ」

《いやもう連れてきてくれよ〜可愛すぎる、見てみたい》

あ、またゆながうとうとし出した…今日は俺が耐えられないから…誰か呼んで帰らせよう。

「今度な。…ちょっと他の奴に電話するわ、ごめん」

プツッ

ぱっ

少しだけ目を覚ましたゆなが俺の方をじいっと見つめる。

「…っりょぉくん…?…さっきの誰〜…?」

「ゆな」

「…?…」

トロン…

「そんなに甘えてきたら、帰せなくなっちゃうかもしれないよ?」

フフッ

「…いいよ?」

っ、そんな可愛くいいよって言われたら本当にお持ち帰りしてしまいそう…

ふわっ

ゆなって、ズルイよなぁ…

はあ、…

…あ。

「ユウに連れて帰ってもらおうかな、」

prrrrr…

《どした?》

「いや、ちょっとね。今から出てこれる?」

《別に行けるけど…何?!告白とか?!♡》

「ごめん全然違う」

《分かってるわよ、凌くんゆなのこと好きなんだから〜分かってるよ?》

「………え?」

《え?》

「ユウ…お前知って…」

《えっ?あ、し、知らなかったってば》

「…ま、それは置いといて…ゆな、飲み潰れて甘えてくるレベルなんだよ、今日のところは引き取って欲しいんだけど、」

《え、?チャンスじゃん、進展進展》

「ちょっと、…酔ってるの可愛すぎて歯止め効かない気がする。」

《凌くんデレッデレ〜もうお持ち帰りしなよ〜♡ギリギリ合法っていうか…むしろ最高のギリギリ年齢だよ?ゆな凌くんより2歳も年下だよ?♡》

「ユウお前出てくるのがめんどくさいだけだろ」

《ゆなの身の危険は案じてるんだけど〜可愛い可愛い天然ふわふわなゆながド変態の凌くんにホテル連れ込まれるのも嫌だし…どっかでゆなが犯されるのも…うーんどっちも嫌かも!》

「お前凄い言い方するな」

《ん〜〜まあ…引き取りに行くね、どこ?》

「駅前」

《頑張って行くね〜あたしのゆなに触らないでね♡》

「お前のじゃない」

プツッ

「う…だれぇ…?」

「あー、ユウだよ。連れて帰ってもらおうね」

ナデナデ

頭を撫でるとサラサラの髪が揺れる。

にこ〜

「ユウちゃん…?はやくあいたい…」

ふふふ

にこにこ笑っているけど寝惚けてるから目開いてない…(笑)天使みたいに可愛いゆな。

「ゆな、もし他の男と行っても飲み潰れたら絶対駄目だよ」

「?」

あんまりゆなは分かってないみたいだけど。(笑)

“ちょっと〜〜あのお兄さんカッコイイ♡”

“爽やか系だね〜〜彼女さん寝てるね、”

“誘っちゃいたい〜〜♡彼女さん寝てるし♡”

やめてくれよ…ここで誤解されてゆなに嫌われたくないんだよ〜〜
普段はよくあること。でもゆながいると違う。今モテたいわけじゃない。

“あのぉ…お兄さんちょっと、いいですかぁ?”

「すいません、彼女寝ちゃってるんで…」

丁寧に"彼女"という言葉で断ったつもりだったのに、食い下がる女の子たち。

“ちょっとだけでも…あっ、そのままでもお話出来ません?”

ユウ「…可愛いゆながいながらナンパ?」

「違うから。その言い方はお前が悪い」

ユウ「あ、お姉さん達すいません♡この人私の連れなので♡」

“あ、っごめんなさーい、”

ささっ

ユウは美人な顔立ちをしてるから睨んだりしたら怖いわ。(笑)女の子たち上手く追い払えたけど。

ユウ「…んで、チャラ男くん。可愛い私のゆな、返してくれる?」

「…いや、ちゃんと返すよ」

寝惚けたゆなも、ユウに気付く。

「んっ…?ユウちゃん…?」

ユウ「ゆな、帰ろ?帰れなくなっちゃうよ」

「ゃだぁ…りょぉくん…まだ呑むぅ…」

…ぱたり

呑むと言いながら倒れてしまうほど酔っているゆなは正直危ないから家に帰らせたい。でも俺が送ると送り狼になる可能性が高すぎる。

ユウ「あらま。…体勢のエッロいこと…(笑)」

「…ゆなは可愛いのにエロすぎる」

「あざといのか天然かわかんないけどどっちでも可愛いね」

この時のゆなは朝に聞くと何にも覚えていませんでした。可愛い可愛い酒グセ。