ブサイクだけど、キスしてくれますか?

「九重さん、今日残れる?」

「残れますよ。」

店長にこんなことを聞かれるなんて、珍しかった。残業かな?特に用事もないので断らなかった。

終業後、残業かと思い制服から着替えなかった。

着替えた店長がバックルームに上がってきて、着替えないのかと聞いてきた。
プライベートでの用事だと思わなかったという旨を伝えると、着替えるのを待っていてくれた。

「YES」と言った手前断ることが出来なかったけど、店長と終業後プライベートで出歩く姿を雪城くんには、見られなくなかった。

店長とは、近くにあるイタリアンのお店に出かけた。

「いきなり呼び出しちゃってごめんね」

「いえいえ、店長が誘ってくるなんて珍しいなって思って」

「九重さん、仕事凄く頑張っているじゃない。仕事をまだ探しているようだったら、うちの社員になるのはどうかなって」

「今、返事は出せないのですが考えてみます。ありがとうございます。」

願ってもない申し出だった。でも、心のどこかで自由でありたいとか、働きたくないなんて無駄な感情が邪魔してしまったのだ。