「幸枝さん、この本のタイトル、どう思います?「秘密の恋。女教師の熱を帯びた目」笑っちゃいますよね」

いかんいかん。バイトとはいえ、仕事中に考え事してしまうなんて

「面白そうだけど、現実的じゃないよね。教師と生徒って」

「女性ってみんなこういう馬鹿っぽそうなタイトルに惹かれるのかと思ったら、幸枝さんは違うんですね。」

「馬鹿っぽそうって、若干ディスってる?雪城くん、あとでドリンクの補充も頼んでいい?」

「ディスってるわけじゃないですよ!ドリンクの件、承知しました。」

雪城くんが、私と一緒で夢物語みたいな恋愛漫画を嫌うことに親しみを感じた。

いつも明るくて、多幸感のある彼から少し毒を感じたからだ。

「幸枝さんって、どんな漫画読むんですか?」

「うーん。ニャンピースとか、ニャン魂とかだったらよく読むよ!」

ニャンプは、二次創作の元ネタの宝庫だ。マンガの中のキラキラした男の子達は、恋愛できない私の枯れた部分を潤してくれるのだ。

「へぇ〜、意外!幸枝さんって男性ものの漫画好きなんですね。僕もニャンピースとニャン魂好きですよ。」

「雪城くんも、好きなんだ!漫画なんて読まないと思ってた。」