そのあともスプーンにおかゆをすくってはフーフーして少し冷ましてから食べさせてくれた。


「…美味しかった…ご馳走様でした…侑李くん」


「いえいえ。

…そう言えば、夢野薬はある?」


「あ…うんん…ないかな…」


「だよね。

俺もその辺詳しくないから買ってこなかったけど……とりあえずスポドリ飲んで少し寝てて」


「うん…」


スポドリを一口飲んでまた横になった。


「……あ、…侑李くん…もう、ご飯食べれたから帰っても平気だよ…」


これ以上、侑李くんには迷惑かけられないもん。


「ん?いいって。

……俺、家には帰りたくないからギリギリまでいちゃだめ?」


「え……、あ…」


家に帰りたくないんだ、侑李くん。


「あ、でも…夢野の家もご両親帰ってくるもんな…ごめんな、夕方には帰るよ」


慌ててそういう彼に


「あ…ううん、親は帰ってこないよ」


「え?」


私の発言に目を見開いた侑李くん。


「…母親は夜逃げしていないし、父親はずーっと前に死んでるからさ」


「…あ、なんか…わりぃ…」


申し訳なさそうに謝る侑李くん。


「ううん、いいの。気にしないで。


…もう、慣れてるからさ」


「……じゃあさ、夜までここにお邪魔してもいい?」


おぼんを持ってすっと立ち上がった侑李くん。


「……うん、いい…よ」


気づいたらそう口にしていた。