22話「過去の繋がり」



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 夢は、律紀の家の浴槽に入りながら、体を暖めていた。
 3時間もの間、外で待っていたので、やはり体は冷えきっていたし、左腕はガチガチに固まっていた。
 律紀は少し高めの温度に、設定してくれてようであっという間に体が温まった。
 浴槽の中で左腕を揉みほぐしながら、夢はいろいろな事を考えていた。


 やはり律紀はアメリカに行っていなかったようで、自宅に帰ってきた。
 後少し待っても帰ってこなかったら、夢は自宅に帰ろうと思っていたので、律紀の車を見た時はホッとしてしまった。

 けれど、彼が何をしたくて日本に残ったのかはわからない。
 あれほど熱心に光る鉱石を調べていたし、望月がアメリカの記事を見せたときも喜んでいたので、それ以上の事となると夢は想像がつかなかった。


 そして、夢が外で長時間待っていた事に彼は怒った。
 夢自身は、気づいたらそんな時間だったという感じで、そんなに長い時間居たつもりはなかった。
 けれど、実際に体はかなり冷えきっていて体調を悪くする危険もあったはずだ。
 それを思って彼は心配してくれて、少し強くい言葉で怒ってくれた。
 そしてそれを謝ってもくれた。


 「やっぱり律紀くんは優しいなぁー。」

 
 失恋をしたばかりだと言うのに、彼の事を考えると、ドキドキしてしまう。
 自分は本当に律紀が好きになっていると、夢は改めて実感していた。

 それと同時に、叶わない片想いだともわかっているのが辛くなってしまう。
 彼に直接フラれてしまうのが怖くなってしまう。
 けれど、何故ここまで来たのか、3時間も彼を待っていたのか。
 武藤夫妻からも理央からも背中を押されたはずだった。