「理央さんはいい人だからね。じゃあ、どうしてそんな顔してるの?」
 「………石に興味がある人がいるから見せたいって言われて写真を撮られてしまって。」
 「写真っ!?はぁー…………まったく年上のくせに理央さんは何を考えてるんだか。」


 ため息をつきながら、彼らが去った道を見つめながら「私からきつく言っておくから。」と、少し起こった顔で、もう見えない理央を睨み付けた。


 「でも、その石に興味を持ってくれる人がいるなんて、いい事じゃないかな?」
 「え………。」
 「だって、そうでしょ?私は、このキラキラしてるの好きだけど、それ以上に石が好きな人なら、きっと夢も受け入れやすいんじゃないかな?」


 千景は夢が鉱石が好きだとも知っていたけれど、きっとそういう事ではないのだろう。

 彼女が言った言葉は、夢の気持ちを落ち着かせるものだった。
 確かに、この埋め込まれた石に興味があって、それを受け入れてくれる人がいるとしたら、きっと自分は不安にならなくてもいいはずだった。

 この石ごと、自分を見てくれる人などいるのだろうか。
 そんな事を考えると、夢は少しだけ胸が高鳴ったのを感じた。


 自分に自信を持つ事は簡単には出来ない。
 けれど、誰かに必要とされるのであれば、きっと自分は変われるのではないか。


 
 写真を見た人は、どんな風に思ってくれるのか。
 そんな事を考えながは、夢は星空を眺めながら家へと急いだ。