「家まで送りますね。」
「え……律紀くんも仕事あるでしょ?それに、本調子じゃないだろうし。」
「僕の講義は昼前だけなので、今日はゆっくりだから大丈夫。帰ってきてから少し休むから。」
そういう律紀は、ポケットから車のキーを取り出した。すでに準備万端のようだった。
「じゃあ、お言葉に甘えて………よろしくね。」
「うん。昨日は僕が甘えたから、おかえしね。」
「そ、そうなんだ………。」
昨日の夜の事といえば、頭を撫で合った事だりうか。それとも一緒に寝た事だろうか。
どちらも思い出しては夢は、頬が赤くなるほど照れてしまう。
律紀はそれに気づいてか、いつもより嬉しそうに笑っていたのは気のせいではないはずだ。
その日から、また律紀との距離は近くなったように夢は感じられていた。
初めて会った時は、大人びていて少し近寄りがたい雰囲気で、落ち着いていて年上のような気がするぐらいだった。
けれど、今の律紀は違った。
少しずつ素を見せてくれているのか、年相応の言葉を使ったり、無邪気に笑ったりしていた。それでも、鉱石の事を話すときは真剣そのもので、そんな彼を見るのも夢は楽しみにひとつになっていた。