ベットから体を起こした彼は、何故かこちらに両手を向けたかと思うと夢の体を抱き上げて、ベットに引き寄せたのだ。


 「ちょっ………ちょっと!律紀くんっ!?」
 「僕が送れないなら、泊まっていく?」
 「え………。」


 律紀の言葉にドキリとする。
 男の人が泊まっていくと誘うのはどんな意味が含まれているのか。夢だって、それぐらいは知っている。
 けれど、律紀がそんな事を言うとは信じられず呆気にとられてしまう。
 律紀に抱き締められている体と、ふわふわの感触のベット、そして彼の香り。
 それを感じてしまい、夢は一気に顔を赤くしてしまう。


 「………律紀くん、なんでそんな事言うの?」
 「あれ?この間見た、漫画本にはこういう風に添い寝するのがドキドキしてくれるみたいな事描いてあったんだけど……。夢さんは、ドキドキしない?」
 「ま、漫画本って?」
 「夢さんが好きだって言ってた恋愛ものの漫画。人気あるって書いてあるのから、少し読んでみたいんだ。」
 「そ、そんなことしてたの…………?」
 「いや、だった?」


 自分のしたことが間違いだと思ったのか、ミスをしてしまった子どものように、律紀はシュンとしてしまっていた。
 夢は、自分が彼を怒ったかなような罪悪感に襲われた。


 彼は夢を思ってやってくれた事であるし、夢だって気になる男の人と、こうやって近くにいられるのは嬉しい。
 だけど、偽りの恋人で添い寝までしてもいいものかと悩んでしまう。
 体はとても熱くなり、彼の鼓動がつたわってきて夢の鼓動も早くなる。

 気持ちは確実に揺らめいていた。