13話「温かい夢と現実」




 日があたりぽかぽかした春。公園の草むらに寝そべって土の香りを感じながらうたた寝をする。
 そんな夢を見ていた。


 心地よいのは、ほのかに感じる温かさと誰かの呼吸。
 隣に誰かいるのだろうか?
 夢は不思議に思って隣を向くと、そこにはすやすやと気持ち良さそうに眠る律紀の姿だった。
 あぁ、彼と一緒だからこんなにも穏やかな気持ちになれたんだ。夢はそんな事を思って幸せな気持ちになった。

 けれど、隣の人とはただの契約の関係。
 それを思うだけで、先程の穏やかな気持ちはなくなり、悲しみと焦りが夢の心を支配する。


 「律紀くん。………私は………。」


 夢が右手を彼の頬に伸ばした瞬間。
 違和感を感じる。

 夢が掌を見ると、そこにはいつもあるはずの光る鉱石がなくなっていた。

 律紀と繋がることが出来る、唯一の鉱石。
 これがなくなってしまったら、彼と過ごすことが出来なくなる。


 「いや………どうして、石が………いやっ!!」
 

 と、叫んだ瞬間。