夢は彼のふわふわとした髪の感触を気持ちいいなと感じながら頭を撫でていると、律紀が小さく笑っているのがわかった。


 「どうしたの?」
 「んー………なんか眠くなってきちゃった。お腹一杯になったし、ホッとしたからかな。」
 「そっか。じゃあ、寝よう。その方が、きっと早く元気になるよ。」
 「……そうだね。」


 そう言うと律紀は、残ったおじやと果物を食べたあと、すぐにベットに横になった。


 「おやすみなさい。律紀くん。」
 

 夢がトレイを持って立ち上がろうとして瞬間。律紀は「ちょっと待って!」と言って、夢を引き留めた。
 夢は、またベットに近づいて膝をつけて「どうしたの?」と彼を顔を覗き込んだ。
 すると、律紀は布団に入れていた片腕を出し、先程夢がしたように、今度は律紀が夢の頭を優しく撫でてくれた。


 「………律紀くん?どうしたの?」
 「………頭撫でてもらうの、嬉しかったから。夢さんにもしてあげたくて。夢さんも好きだったんでしょう?」
 「……うん。好きだったよ。」
 「じゃあ、僕からのおかえし。」
 「ふふふ。じゃあ、私も律紀くんが寝るまで頭撫でてあげるね。」
 「………ははっ。撫で合いっこっておもしろいね。」


 普段見れないような、無邪気な律紀の笑顔に夢は思わずドキッとしてしまう。
 彼はこんな表情もするのだと驚き、そして新たな一面を見れて夢は嬉しかった。

 お互いに頭を撫でる感触と、撫でられる幸せを、感じながら夢は律紀が眠るまで、彼の顔を眺めていた。