律紀が夢の右手を見る時も、ブランケットを掛けた。研究室よりも、実験室の方が寒いのだ。
 左腕が完全に冷えきり動きにくかったけれど、今は右手だけ動けばいいのだ。夢は、我慢したまま彼に右手を預けていた。


 「んー……やっぱり光が薄い日と、強い日があるね。」
 「そうなんだよね……。なんか、昼間の方が明るい気がするんだ。」
 「………それを前に聞いて考えていたんだけど、もしかしたら太陽光を浴びると光るのかもしれないと思ったんだ。」
 「太陽光……だから、昼間の方が光ってたのは、そのためかも。」
 

 昼間に光る事が多い理由。
 彼の推測は、理にかなっている。夢は妙に納得できてしまった。

 「まだ何もしていないから結論は出来ないよ。太陽光とか、紫外線かもしれない。」
 「そっか。私、この鉱石とずっと一緒にいるのに全く考えなかったよ。律紀くん、さすがだね。すごい!」
 「そんなにすごくないですよ。……1度1日紫外線に浴びないように過ごしてもらって、どれぐらい違うのか検証してみたいな。」
 「うん。やってみるね。」


 自分の鉱石について何か知れると思うと、夢は気持ちが高ぶってしまう。体を少し動かした拍子に、膝に掛けていたブランケットがずり落ちてしまった。
 夢は空いている左手でそれを取ろうとするけれど、左腕が上手く動かなくて力の加減を間違えてしまい、強く動かしてしまった。その瞬間、体が傾き椅子から落ちそうになってしまう。
 あ、落ちちゃう。夢はそう思いながらもなにもすることが出来ずにそのまま椅子から体が離れそうになった。