律紀とのデートの日は、気温が下がりとても寒い日になるの予報されていた。

 冬の間は、腕の事を考えるとなるべくは暖かい服装をするようにしていた。けれど、やはりデートとなると夢はおしゃれをしたいと思ってしまうものだった。
 お気に入りのコートに膝より少し上のスカートにニット。そして、ショートブーツを選んだ。前日の夜に一人でファッションショーをして決めた、お気に入りのコーデ。

 気になる相手の律紀との初めてのデート。気合いが入らないはずはなかった。
 それにデートのスケジュールを考えるのも今回は夢の役割だった。
 律紀とデートをすると決めてかは、夢はいろいろと調べ、思考してデートに臨む事になった。



 待ち合わせは律紀の職場である大学の近くの駅だった。
 律紀が車を出してくれると言ってくれたので、お言葉に甘えた。最近買ったばかりの車と教えてくれたので、律紀も運転するのが楽しいのかもしれない、と思ったのだ。
 それに彼から提案してくれたのも夢には嬉しかった。
 
 待ち合わせの場所に向かい、律紀を待っている間屋外だったため、やはり冷えてしまった。
 腕の調子が悪いな、そう思って腕を少し動かしてみると、やはり違和感があった。
 仕事の日ではないので、支障はないがやはり少し動きずらさを感じていた。

 そんなことをしていると、スマホのバイブがなり律紀からの連絡だった。そのメッセージを見ると、「到着しました。目の前の紺色の車です。」と、書いてあった。時計を見ると、待ち合わせの時間ピッタリだった。
 その車を探そうと顔を上げると、少し離れたら場所に紺色の車が止まっており、律紀が運転席から下りて待っていてくれた。
 それに駆け寄ると、律紀は「待たせてしまいましたか?すみません。」と謝りながら、助手席のドアを開けてくれた。
 

 「はい、どうぞ。」
 「ありがとう……律紀くん。運転お願いいたします。」

 
 恋人らしい対応に、夢は少しだけ緊張しながら車に乗った。すると、新車の匂いがした。よくみると、内装をどこをみても汚れなどなく、綺麗だった。

 そして、律紀の車は、車の事をよく知らない夢でさえも知っている、高級な外車のブランドのものだった。夢は、自分より年下なのに、と驚いてしまった。
 

 「今日はどこに行くの?」
 「映画館に行きたいの。少し離れた場所にあるんだけど………。」
 「大丈夫。その場所ならわかるよ。」

 そういうと、後部座席から何かを取り出して夢に差し出した。


 「はい、ブランケット。外寒かったでしょ?使って。」
 「………ありがとう。これわざわざ持ってきてくれたの?」
 「今日寒かったから。じゃあ、行こうか。」


 そういうと、律紀はゆっくりと車を走らせた。
 律紀の運転はとても静がで、車酔いしやすい夢でも平気だった。
 それに膝にかけてある、律紀から借りたブランケットがとても暖かくて、夢は幸せな気持ちになっていた。それに、左腕も少し違和感がなくなったように感じられた。