28話「忘れたはずの約束」



 ぽかぽかとした陽気に包まれている。
 そして、土の香り仄かに感じる。
 どこかの草原で昼寝をしているような心地よさを、夢は感じていた。

 けれど、先ほどから肌になにか触れているような気がしていた。それがとても気持ちよくて、夢は顔や体を寄せて更にくっつこうとしてしまう。
 すると、ふいに何かが頭を優しく撫でれる。
 
 あぁ、気持ちがいいな……。
 そう思いながら、夢はゆっくりと目を開けた。


 「……ぅん………。」
 「あぁ……夢さん。すみません。起こしてしまいましたか?」


 夢が目が覚めると、隣にはピッタリとくっつている律紀が優しく微笑んで顔を覗き込んでいた。
 ボーッとした頭が少しずつ覚醒していくと、ここで寝てしまった前の事を思い出し、夢はハッとする。
 
 彼は上半身が裸で、夢の頭を撫でる腕は、細いだけではなく少し引き締まっていた。
 それを見ただけでも、ドキッとしてしまう。
 布団に潜り込みたくなってしまうけれど、肌が触れ合うほど近いのでそれも出来ない。
 そんな事を考えて彼を見つめていると、自分も裸なのにやっと気づいた。


 「あっ………。」


 夢は自分の体を隠すように、彼にくっつくけれど、それは逆効果だと気づいた時には、彼に笑われてしまった。


 「恥ずかしいんですか?……可愛いですね。」
 「…………何で律紀くんはそんなに余裕なの?」
 「そう見えますか?全然余裕なんてないですよ。また、我慢出来なくなりそうです。」
 「……律紀くん。」


 夢が恥ずかしそうに笑うと、つられるように彼も微笑む。律紀は優しく夢の額にキスをしながら、割れ物も扱うように優しく抱きしめた。