夢は、大胆な言葉を言った後にじっと彼を見つめていた。
 どんな反応をするのか怖かったけれど、自分の気持ちをしっかり伝えるには、彼を見ていなければダメだと思ったのだ。

 すると、律紀は呆気にとられた顔をした後、少し頬を染めながらギューっと目を閉じて我慢をしているようだった。
 けれど、すぐに目を開けると、前髪をかきあげながら焦りの表情を見せた。


 「………あー、我慢出来ないです……。」
 「……っっ………ぁ、りつきくん………。」


 先ほどのキスよりも熱くて深い。夢を食べてしまうように口を開けて、唇を貪るりキスをする。そんな彼の強引なキスに、夢を圧倒されながらも、体がキューっ締め付けられるぐらいの幸せを感じていた。
 誰かに必要とされたい。欲しいと言われたい。そんな恋愛に憧れていた自分に、そんな気持ちをぶつけてくれたのは、夢自身が愛した人。
 それはとても幸福な事なのだ。

 彼の熱をもっと感じたい。
 キスの感触に溺れたい。
 そう思っていても、やはり不安なことはある。

 「律紀くん……っ、ちょっと待って……。」
 「……夢さん?どうしたんですか?……やっぱりダメ?」

 熱を帯びた彼の瞳が、淡い照明に照らされてゆらりと光った。妖艶にも見える彼の姿に、ハッとなりごくりと唾を飲み込んでしまう。