「すごく情けないんですけど……。夢さんに会ったら、すぐに昔の話しをして謝ろうと思ってたんですけど、なかなか言い出しにくくて。嫌われたり、信じてもらえなかったりしたらどうしようって、悩んでしまって。そのうちに、夢さんから契約恋人の話があって……。」
 「本当にごめんなさい。律紀くんと会うきっかけがなくなってしまいそうで、焦ってしまってそんな事を言ってしまったの………反省してます。」


 今度は夢が申し訳なく、頭を下げながらそう言うと、何故か律紀は頬を染めて恥ずかしそうにしていた。


 「いえ……そのー、ビックリしましたけど、僕も謝ってもいないのに夢さんと離れてしまいたくなかったので、よかったと思ってます。それに契約だとしても恋人になれば、次は僕が守れると思ったんです。」


 律紀は最後の言葉を、しっかりと夢の目を見て力強く伝えた。
 その姿に、夢はドキッとしてしまう。 
 契約だとしても、恋人として過ごそうとしていたという律紀の言葉が嬉しかった。


 「そして、夢さんと恋人のような時間を過ごしていくうちに、本当に夢さんと恋愛をしてみたい。本当の恋人になったら、どんなに楽しんだろう。幸せなんだろうって。………僕だけのものにしたいって思うようになっていきました。」
 「律紀くん………。」


 律紀の言葉が信じられなかった。

 夢だけが、彼といる時間を求めていて、この契約が終われば離れてしまうつながりなのだと思っていた。

 けれど、それは全く違った。
 夢と律紀は昔の「友達」という絆で繋がり、「約束」という言葉でも繋がっていたのだ。

 そして、律紀も夢と繋がっていたいと思ってくれてた。
 それが夢のように幸せで、先ほどから堪えていた涙が溢れてきてしまった。