「律紀くん。私はそんな風に思わないよ。」
 「けれど………。」
 「違うよ。律紀くんがくれたこの鉱石のおかげで私は助かったんだよ。きっと、事故にあってもに生きてこれたのは、律紀くんとこのマラカイトのおかげなんだよ。」
 「夢さん……。」
 「私を助けてくれて、ありがとう。」


 夢の言葉を聞くと、律紀は驚いた表情を見せていた。夢が言ったようには考えたことがなかつたのかもしれない。
 夢の心からの感謝の言葉と笑顔を見て、律紀はやっとホッとしたのか、少し瞳を潤めながら安心して微笑んだ。



 「それに、右手の鉱石の事は、もうよかったの?」
 「それにはその……理由がありまして。」


 律紀は少し視線を逸らしながら、何故か話しにくそうに言葉を選びながら答えようとしてくれた。


 「実は、夢さんの鉱石がアメリカで発見されたものと同じ物だというのは知っていたんです。」
 「えっ………えーー!!そうなの?」
 「そうなんです。すみません、嘘をついて実験の真似事を繰り返していて。あ、でも成分とか知りたかったのは事実ですよ。その鉱石が見つかったのはここ数年のことなので、夢さんが事故にあった当時には発見されていなかったものなので。」
 「………なんで、そんな嘘をついたの?しかも、契約恋人まで受けて。」


 律紀が夢の右手の鉱石について知っていたのならば、契約恋人をしてまで実験をする必要はないはずだ。
 それに律紀は昔の話しをする事もしなかった。
 約束を果たしたいと思っていてわざわざ探してくれたのに?と、疑問はますます増えてしまう。


 夢が不思議そうな顔をしてしてのがわかったのか、律紀少しばつの悪そうな顔をしていた。