24話「やっと見つけた。」
 


 事故の現場には、衝突に巻き込まれた白い小型トラックに積まれていた鉱石が散乱していた。
 ほとんどが細かい鉱石ばかりだったようだが、少しだけ立派で大きなものもあった。
 
 そんな色とりどりの鉱石がちりばった道を、夢を乗せた救急車が走っていく。
 夕日に照らされて光る鉱石たちが、夢を応援しているように、守ってくれているように律紀には見えた。


 きっと大丈夫だ。

 律紀は、鞄から取り出した琥珀の石を、右手でギュッと握りしめたまま、救急車が走り去った道をしばらく見つめ続けていた。






 ☆★☆




 ゆっくりと昔の話をしてくれた律紀。
 その話しは、夢自身の事なのに全く覚えていなかった。
 そして、とても衝撃的な事だった。

 律紀はずっと前に会った事がある少年で、夢がずっと大切にしていたマラカイトの持ち主だった。
 そして、約束をしていた事。
 律紀が、夢を助けるためにずっとついていてくれた事。
 
 全てが夢の知らないことばかりだった。