親に勝手に決められた結婚相手。
「初めまして。
僕は早瀬龍也(はやせ りゅうや)です。
よろしくね。」
爽やかに挨拶をして、私の目を見つめてきた。
「初めまして…金山凛(かなやま りん)です。」
嫌々挨拶をした私に対して、嫌な顔せずに
向き合ってくれた。
毎日かかさずに電話を掛けてきてくれて
つまんなそうに返事をしてても
すぐに電話を切ってしまっても
私に会った時は笑顔でいてくれた。
ある日突然、日課であった電話が一週間以上
掛かってこなかった
最初は全然平気だったのに2日も経てば
心が少しモヤモヤしてきた。
モヤモヤのまま1週間を過ごして
久しぶりに電話が掛かってきた。
「もしもし、電話掛けられなくてごめんね。
お見合いの場所で待ってる。」
それだけ言って、電話が切れた。
(もしかしたら、結婚をやめようとしてるのかも
なんて心の中で不安が溜まっていった。
私はいつの間にか、龍也のことが好きになっていた。
すぐに言われた場所に行って、龍也のそばに駆け寄り
「私のこと……嫌いになったの?
ねぇ。私さ、変わるから。 別れないで!」
そう涙をこらえながら言った。
「だ、大丈夫?とりあえず、落ち着いて!」
焦りながらも冷静に私を席に座らせた。
「別れ話なんて聞かないから…」
「別れ話なんてしないよ。
改めて言いたいことがあるんだ。」
「な、なによ。」
龍也は真剣な顔をして私に
「結婚してください。」と言った。
その言葉に驚いた後、この人とそばにいたいと
思えた私は「はい。」と笑顔で言った。
でも、疑問に思ったことがあったので
「なんで、1週間以上も電話掛けてくれなかったの?」
と聞くと
「そ、それは、僕が君との将来を真剣に
考えてた…なんて恥ずかしいよな。」と答えた。
「ううん。そこまで考えてくれてたんだ。
ありがとう。改めて、宜しくお願いします」
「こちらこそ、こんな僕ですが
精一杯君を幸せにします。」

こんな形の結婚でも今ではとてもいい思い出です。