「花咲おはよ!。」
「莉桜おはよ~。」
「二人ともおはよう!。」

校門前に着くと同じ風紀委員の友達がいた。

「東、寝癖やばいね。」
「普通に寝坊した。遅れたら怒られるからそこまで考えていなかったわ。」

アンテナのような寝癖を付けた男、東 梨久(あずま りく)はあくびを噛み殺しながらそういった。
それをおかしそうに見つめる小柄な少女、小鳥遊菜乃花(たかなし なのは)は、私の方を向くと「東、いつも寝坊してるよね。」と言った。

「で、今日の検査当番って東と菜乃花と私と誰だっけ?。」

風紀の当番は4人。
たぶん、同級生が来るんだけど誰だっけ。

「花咲が大好きな、藤堂だよ。」
「は!?。今日藤堂だっけ!?。」
「そうだよ。莉桜忘れたの?。」
「…ちっ…。」
「舌打ちすんなよ~。」

藤堂…。
すっかり忘れていた。

「お、みんな来てたのか。」
「藤堂おはよ~!。」
「おはよ~。」
「東、小鳥遊おはよ。…花咲さんおはよ。」
「あ、おはっす…。」

黒ぶちのシャープな眼鏡、
高い身長に、サラサラの髪の毛。
にこやかな笑顔に人当たりのいい態度。
どこにも欠点がないこの男、『藤堂樹月』はいつも通りの笑顔を私に向けた。