そう訊ねる俺に、先輩は「大丈夫」と言った。
「私は、いろんな楽器を弾くことができるの。だから、大丈夫」
そう言って先輩は、フルートを吹き始めた。きれいな音色が音楽室に響く。その音色に、音楽室にあふれていた険悪な空気が完全に消えた。
「練習、頑張ろう?」
そう言って微笑む先輩に、俺は「はい!」と大きく頷いた。
先輩は、俺のペースに合わせてゆっくりと練習してくれた。指使いから、うまくなるコツまで、優しく丁寧に教えてくれる。
憂鬱だった部活も、先輩との練習のおかげで楽しみになっていった。
間違えてしまっても、先輩はみんなのような表情は絶対に見せたりしなかった。それが、俺にとって何よりも安心し嬉しかった。
先輩との距離が近づくたびに、先輩のことをどんどん好きになっていく自分がいる。先輩のことを、常に見てしまう自分がいた。
そんなある日、同じ一年生の女子に部活に向かう途中、話しかけられた。
「ねえ宮内ってさあ、雨宮先輩のこと好きなの?」
いきなりそんなことを言われ、俺は驚き、何も言えない。そもそもこの女子とはあまり喋ったことなどなかった。
「私は、いろんな楽器を弾くことができるの。だから、大丈夫」
そう言って先輩は、フルートを吹き始めた。きれいな音色が音楽室に響く。その音色に、音楽室にあふれていた険悪な空気が完全に消えた。
「練習、頑張ろう?」
そう言って微笑む先輩に、俺は「はい!」と大きく頷いた。
先輩は、俺のペースに合わせてゆっくりと練習してくれた。指使いから、うまくなるコツまで、優しく丁寧に教えてくれる。
憂鬱だった部活も、先輩との練習のおかげで楽しみになっていった。
間違えてしまっても、先輩はみんなのような表情は絶対に見せたりしなかった。それが、俺にとって何よりも安心し嬉しかった。
先輩との距離が近づくたびに、先輩のことをどんどん好きになっていく自分がいる。先輩のことを、常に見てしまう自分がいた。
そんなある日、同じ一年生の女子に部活に向かう途中、話しかけられた。
「ねえ宮内ってさあ、雨宮先輩のこと好きなの?」
いきなりそんなことを言われ、俺は驚き、何も言えない。そもそもこの女子とはあまり喋ったことなどなかった。


