先輩のピアノの音に耳を傾けながら窓の外をふと見ると、外は土砂降りの雨が降っていた。

先輩に告白した日も、こんな雨の中だった。

頭の中に、初めて先輩と出会った日のことが浮かんだ。



先輩と初めて出会ったのは、一年生が入学してすぐに行われる歓迎会でのことだった。

吹奏楽部の演奏で、俺はホルンを吹く先輩に一目惚れした。スポットライトの下、ホルンを演奏する先輩はとてもきれいで、ずっと見て聴いていたかった。

でも、中学校では吹奏楽部ではなく水泳部だった。なので、初心者の俺が楽器なんてできるはずないと思い、吹奏楽部に入部することを諦めた。それと同時に、先輩に対しての想いも諦めようとした。

しかし、心のどこかでは、先輩のそばにいたいという気持ちがあったのだろう。俺は放課後図書室に行き、楽器に関する本を手に取り、眺めていた。

サックス、ホルン、フルート、クラリネットと初心者には難しそうな楽器が目に飛び込んでくる。