先輩は「ええ…」と頷いた。それは、何かを覚悟したような表情だった。

先輩に気持ちを伝える時は、刻一刻と迫ってくる。



部活が終わった後、俺と先輩はあの公園に行き、ベンチに座る。

俺の頭の中で、先輩と過ごした思い出が蘇る。初めて先輩を見かけたあの日のことも、まるで昨日のことのように思い出せる。

初デートで行ったのは、水族館だった。ラッコやペンギンを見てはしゃぐ先輩が可愛かった。電車に乗って海に行った時もあった。きれいな貝殻を二人で拾った。バレンタインの時に、先輩はザッハトルテを作ってくれた。とてもおいしくて、まるでお店に売られているやつみたいだった。

先輩と過ごした日々は、驚くほどたくさんの色であふれていて、星のように煌めいて、どんな宝石や宝物よりも美しい。

俺が持っているには、あまりにきれいすぎて、全てが夢だったらと先輩が旅立つと聞いて思った日もあった。

しかし、これはきっと神様が与えてくれたギフトなのだ。この美しく幸せなまま、時を止めてしまいたい。だからーーー……。