「……天くん……」

先輩は顔を上げ、また泣き出した。俺は先輩に傘を渡し、先輩に目線を合わせる。

先輩の頰に触れる。雨で濡れて冷たい頰を、温かい涙が伝う。抱きしめたくて、触れたくて、たまらない。その気持ちは、限界を超えた。

目を閉じ、先輩に顔を近づける。それは一瞬の出来事だった。

俺は、先輩にキスしていた。柔らかな感触に俺は驚き、突然のキスに先輩は驚いていた。

「先輩……」

俺は先輩を見つめ、言った。

「俺は、先輩のことが好きです。あんな奴よりずっといい人になります。先輩を幸せにします。……だから、俺と付き合ってくれませんか?」

土砂降りの雨の中、俺は大好きな人に告白した。