地響きのような音で目が覚めた。


目の前にはオレンジ色に染まる空が広がっており、両耳からは草と草がこすれ合う音が聞こえてくる。


___ここは…


体を起こそうとすると、まるで何年もの間固まっていたかのように節々が曲がらず、自分でも驚いてしまった。


これじゃあ、まるでサビれたロボットじゃないか…



なんとか体を起こすと、突然強い風が吹いてきて、思わず目を瞑った。


恐る恐る目を開けると、そこにあったのは延々と続く麦畑だった。


強い風にあおられて、いくつもの波をつくる麦畑は、空までも動かしているように見えた。


オレンジ色に染まる空は、まるで大地に動かされているかのように、雲の流れが速かった。



___どこかで、見たことがある。


ふと、そう思っている自分に気づいた。


けれど、それがいつなのか、そもそもここがどこなのか、全く思い出すことができない。


ただの「1枚の絵」としてしか記憶に刻まれていないこの光景。


なのに、こんなにも懐かしい気持ちになるのはなぜなのだろう。