彼の溺愛はわかりづらい。



「ね、海堂」

「…なんだよ」



海堂から見たら、今の私はものすごく気持ち悪いんだろう。
うん、自分でもわかる。

だけど、そんな不審そうな目で見ないでくれ。それを隠せたら今の君は100点満点だよ。



「アイス、食べに行こっか」

「は?もう?」

「ん、もう」



…こういうの、オウム返しっていうんだっけ。


…なんか、今の私ならなんでも楽しめる気がしてきた。
もう怖い通り越して恐ろしいというか面白い。

あ、あと、すごい「うげぇー」みたいな顔してる海堂もすんごい面白い。



「…もう少し、室内にいないか?」

「え、なに?暑いの嫌なの?」

「当たり前だろ」

「そんな海堂くんに、とてもいいものを与えようではないか」

「…なんだよ」



私はカバンの中からポーチを取り出して、その中からさらに、携帯型扇風機を取り出した。
しかも、かなーりファンシーな感じのやつ。

…あ、決して嫌がらせとかじゃないからね。一応言っとく、心の中で。



「ほら」

「なんだこれ」

「携帯型扇風機。あげるよ。100均のやつだし」


前に行ったとき、面白いからって意味もなく買って、「いつか使うだろう」って思ってカバンに入れたまま、全然使ってなかったやつだけど。それは黙っとこう。



「へぇ、こんなのも売ってんだ。…サンキュ」

「アイスのお礼も兼ねて」

「なんだそれ。元々、俺が詫びとして奢るのに」

「それにしても多い気がするからあげる」

「サンキュ」