彼の溺愛はわかりづらい。



そんなの、気づかなかった。
得点なんか、あまり気にしていなかったから。



「高校でも、一年生にしてエースとかになれんじゃね?」

「……高校で、部活やるつもりない」

「は?」



「お前、正気かよ!?」と、試合が終わったばかりで、体力が底にきてる俺を、思いっ切り揺らす、同級生で部長の高橋。


…やめろ、吐くから。
ほんと死ぬ。一旦落ち着いてくれ。



「海堂先輩困ってますよー?」

「あ、悪い」

「ほんとにな」



後輩に言われるまで気づかないって、どんだけアホなんだよ。


…あぁ、まだ頭がグラグラする。
気持ちわりぃ…吐きそう…。



「っていうかお前、高校でバスケやんねぇのか!?」

「やらねぇ」

「なんで!?」

「めんどい」

「「え」」



高橋だけでなく後輩たちまで、何とも言えないような顔をしている。

いや、正直に言っただけなんだけど。なんでそうなるんだよ。