彼の溺愛はわかりづらい。



…まぁ、気合いで何とかなることと、そうじゃないことがあるのは百も承知だけど。

信じてみたいんだ。
…また、コイツと会える未来を。



「なにそれ。精神論?」

「そんなもんじゃねぇよ」

「…じゃあ、私も頑張るから。期待してるね」

「よろしく」



このことをコイツが覚えてなくても、俺はきっと覚えてるんだろうな。

もし、また会えて、お互いに覚えていたら。
…それこそ運命だと言うんだろうか。なんだか乙女っぽくて自分が気持ち悪い。



「…あ」

「え。…あー」



もう公園に着いてしまった。

しかもそこには、中年女性が一人で木陰に立っていた。
言わずもがな、コイツの『叔母さん』とやらに違いないんだろう。



「ここ、だよね?」

「そう、ここ」

「…ありがとう、ここまで案内してくれて。…あ、試合?出るの?」

「…そうだけど」

「私は観られないけど、頑張ってね。ひっそり勝利を祈ってるよ」

「…サンキュ」