彼の溺愛はわかりづらい。



「…可愛くねぇ奴」

「…っ」



別に、自分のことを可愛いと思ってるわけじゃないのに、そう言われただけで少し落ち込んでしまうのはなんでだろう。

…自分が可愛くないのなんか、私が一番知ってるよ。



「…って、今のは…」

「知ってるから。自分が可愛くないなんて、私が一番知ってるから。無駄なこと喋ってないで、少しでも勉強はじめよ」

「…っ」



なんか今、海堂の顔見たくない。
っていうか、見れる気がしない。

…きっと、今見たら泣いちゃうから。



「えっと…教科書どこかな」

「っ、琴」

「あ、そーだ、机の上だ」

「琴!」

「!」



徹底的に無視してたのに、急に大きい声を出すから。
…ちょっとびっくりしちゃったじゃないか。


だけど、振り向く勇気は…ない。

まだそこまで、私は強くないから。