彼の溺愛はわかりづらい。



「でも、今はわかんねぇから。だから、俺に教えて」

「…心臓、止まりそうだから離してほしい…」

「…なんだそれ」



…え、なんだそれってなんだそれ。
せっかく勇気を振り絞って言ったのに。



「お前ってほんと、ずりぃよな」

「それ、そっくりそのままお返しするよ。ってか、離して、ほんと。何回言えばいいのこれ」

「いいじゃん、言えば。何回でも」

「なんでよ。疲れるわ」



疲れるしめんどくさいわ。
っていうか、今日は勉強するんじゃなかったっけ。



「…海堂、勉強」

「しなくてよくない?」

「よくない!」



課題やらなかったら、最恐教師・山センに怒られるんだよ!?
それでもいいってこと!?海堂は。私は嫌だよ。



「…邪魔するんなら、帰って」

「え、ごめん。真面目にやるわ」



そう言って、やっと海堂は私から離れた。

恥ずかしいから平気なフリをしていたかったけど、私の表情筋たちは、上手く機能してくれなかったらしい。