彼の溺愛はわかりづらい。



「…どーした、やらねぇの?」

「いや、やる」



私が入り口に立ったまま動かないから、海堂も不審に思ったみたいだ。

私が慌てて歩き出すと、足がもつれてしまった。
ヤバい、転びそ…



ドサッ


…転んだ。
けど、あんまり痛くない。それどころか、なんだか柔らかい。

なぜ。


そっと目を開けると、目の前には海堂のどアップ…って、え。
まさか、まさかとは思うけど…海堂が下敷きになってるパターン!?

…うん、どうやらそうらしい。なんてベタな。



「…ごめん、早くどく…わっ」



私が起き上がろうとすると、海堂に引き寄せられた。
…おかげで転びそうだった。



「…近い、な」

「…そっちがそうしたんじゃん。早く離してよ」

「やだ」



それは困る。
もう本当に、そろそろ心臓が止まりそうなんだけど。

お兄ちゃん助けて。全然安全じゃなかった。
…って、この状況見たら、逆に私が襲ってるみたいか。ダメじゃん。