雲ひとつない快晴の空だった。


いつもと同じ平日の朝。


「はよー」


レオがいつも通り、心底眠そうに目をこすりながらホームをふらふらと歩いてきた。


意識の半分はまだ夢の中だろう。


「そろそろ起きなよレオ」


「そうだぞ、レオ。危ないからしっかり起きろ」


メルとタカに口々に注意されるけど、レオに聞こえている様子はなくタカの肩にもたれかかり寝息を立てている。


これもいつものことだ。


起きる気配のないレオにため息をついていると、電車がホームに入ってきて、人が忙しなく動き出す。


どんどん乗り込んでいく学生やサラリーマンの群れに押しこまれるようにして今日も電車に乗り込んだ。


タカはそれでも寝続けるレオと、吹き飛ばされそうなメルを引っ張ってなんとか乗り込む。


こいつはいつも朝は大忙しだ。



「ねえ、あの子どうするかな?」


「ああ戸田ちゃんだったっけ、どうだろうなあ」


「…ソウジがあんな酷いこと言うから」


電車内で2人で声を潜めて話していたメルとタカが急に俺に目を向けてきた。


「は?」


ちらっと不機嫌そうなメルの顔を横目で見るとメルは俺の肩をバシッと叩いた。


「あんたその性格ちょっとは改善した方がいたと思うよ」


昨日から散々な言われようだ。

話の内容はわかっている。
昨日レオがボーカルにと連れてきた女の話だ。
一応クラスメイトらしいけど特徴のない地味な女だった。
どんな顔していたかも覚えていない。


「あれくらい言われても平気なくらいの度胸がなきゃやってけないっつの」


「あんな酷いこと言われて平気なわけないでしょ」


「俺は平気だ。そもそも言わせねえ」


「はあ…」