僕は、無事に咲輝さんの家族になることが出来た。この家に来て、数日が経っていた。
「咲輝さん…いや、お母さん」
僕が「お母さん」と呼ぶと、母は優しい笑顔になり、「どうしたの?」と言った。
「…僕は、英太の墓参りだけは行きなくない」
「どうして…?」
「僕の心の中で、英太が生きているような気がして…」
「…そうね。夕食の時間に話しましょうか」
母は、夕食の準備を進めていく。
ここでの暮らしは楽しいものだった。毎日、楽しく話しをして過ごしている。それだけでも、嬉しかった。
夕食の時間になり、僕が口を開いた。
「僕は、英太の墓参りに行きたくない」
「どうしてだ?」
「…僕の心に英太が生きているような気がして」
「そうか…じゃあ、こうしようか」
父は、少し考えた後にとある提案をした。
「…1年に1回、あそこの公園に花束を飾る」
「……花束を?」
「そうだ。その花は、買う時に皆で決めよう」
「…そうする!」
僕は、父と母に笑いかけた。2人は、満足そうに笑う。その笑顔が、僕の空っぽの心を満たしてくれた。



