私は日記を閉じた。



途中から何度も日記が涙で濡れそうで危なかった。


読むのにも視界がぼやけて時間がかかってしまった。







「………………お父さん……」




私は日記を抱きしめ、最後に見たお父さんの笑顔を思い出した。








『 俺のことを……まだお父さんと呼んでくれてありがとう』



そう最後に言っていた。




すごく幸せそうな顔で。


写真で見た時と同じ笑顔。








「お父さん…………お父さん…………………」









ごめんね








私、いつもお父さんと離れる時泣いてたんだね。







「お父さんごめんねぇっ…………ありがとうありがとうありがとうありがとうっ…」



ずっとこの地下で





部屋は違うけれど






この5年間ずっと





私を守ってくれていたのかな……






ずっとお母さんの事しか私は呼んでなかったけど






お父さんはすぐ側にいてくれたんだね






今までずっと私を心配してくれてたんだね





「ありがとうっありがとうありがとうありがとうっ………………大好きだよぉっ……お父さん……」






涙はとまらない






気持ちも溢れて止まらない






何故お父さんを刺してしまったんだろう。






せめてお腹ではなく他の部分ならまだ死ななかったかもしれない。





なんで私は







最後の最後まで笑顔を見せてあげられなかったのだろうか。





もう会えない





もう言えない






もう伝えられない









「………………お父さん……私も死んだら……お父さんに会えるかな……」




もう私には生きる意味なんてない






お母さんはもうお母さんじゃないから






お父さんを殺してまで会いに行ったお母さんはもう私の知っているお母さんではなかったから……






「……でも私は天国にはいけないかな…………ならお父さんに会えないか…………」








もうどうでもいい








私はベッドにのぼり冷えた体を布団にいれる。






このまま寝よう





ずっと寝ていよう





もう起きたくない






覚めたくない






なにも








見たくないから













もう私は生きる意味も価値もない













泣き疲れていたのもあって




私は直ぐに眠りについた