同じ客の老夫婦が立ち止まって見ている。
 ご主人が誰かに話しかける声がする。

「いやー、ステキな露天風呂に美味しい料理。その上、目の保養までさせてもらって。なかなかのアツアツぶりですなー?」

「アーハハハ! どーも!」

 番頭さんは何て返答すれば良いか分からず苦笑いするだけだ。

「若いってステキねー! 昔を思い出すわー」

 温和な雰囲気の奥さまの方はノンキな事を言う。