そして私は1人、列車で伊豆入りした。

 宮岸徹が住んでいる某市で下車し、そこから華乃鷺温泉行きのバスに乗り込む。
 海を見下ろす山沿いの道を走り続けて約35分。
 目的地の終点に着いた。

 昔ながらの雰囲気で魅力あふれる温泉街を進んで行き、しばらく歩くと旅館『おはな荘』に着いた。
 温泉街を見下ろし、遠く海を望む小高い場所に建つ和洋折衷の立派な建物である。