宮岸さんはスポーツ刈り男のジャケットのポケットに手を入れると、何かをつかんで取り出した。
 そして、女性の前でテーブルにパラパラと落とす。

 数本の爪楊枝が落ちて皆の視線が集まる。
 裕太はその1本を手にした。

「爪楊枝? こーんなモノがなーんで…」

 宮岸さんが裕太に質問する。

「厨房で料理作る時、爪楊枝なんて使うか? 特にイタリアンレストランではよ」

「使わないハズです」

「だろう? なのになーんでピザに刺さってたー?」

 裕太は男に見やった。

「まさか…、この男が」