私が12番テーブルから引いた空の食器類を厨房へ持って行こうとした時だった。 

「あのぉー、ウェイトレスさーん?」

 途中のテーブルで他のお客さまから声をかけられた。

「ハイ」と言って、私は足を止めお客さまを見やった。

 奥寺先輩と同じか、その上の年齢ぐらいと思われる女性のお客さまである。

 茶髪セミロングの小顔をした、ちょっとお嬢さまって雰囲気かな?
 ネイビーのワンピースにピンクのカーディガンを羽織ったファッションが良く似合う。

「ちょっとぉー、イイですかぁー?」

 カワイイ声をしている。

「はい、何でしょう?」と立ち止まって応対し始めた私。

「見てこれぇ」

「え?」

 お客さまが指差す皿に私は視線を落とした。