当の奥寺マーリィ先輩は向かい合って座っている男と和やかに会話をしている。
 そこへ裕太がやって来た。

「いらっしゃいませー、お待たせしましたー!」

 裕太はそれぞれに冷水とオシボリ、メニュー表を置き真ん中にカトラリーケースを置いた。

「遅いぞー! とくながゆーた!」

 ちょっと怖い表情で奥寺先輩は裕太に声をかけた。

「す、すみません!」と裕太は平謝り。

「フフフ!」とミキは笑う。男は裕太に見やった。

「君はさっき、道で奥寺が話しかけて来たコだよな?」

 奥寺先輩が裕太を紹介する。

「徳永裕太。同じホールスタッフで後輩なの」

「同じ大学の?」

「まだ高校生だよ。店の職場では後輩なんだけど」