「宮岸さんは料理人さんでしょう? だから」

「俺は和食専門だけど?」

「あ! そっか! 宮岸さんは板前さんでしたよね!」

 しまったー!
 私ったら、宮岸さんが和食専門である事を忘れていた。
 頼む相手を間違った事を後悔してしまう。

 ニヤリとする宮岸さん。

「でも構わねーよ。俺で良ければ」

「板前さんなんでしょう? イタリアンとかは」

「料理補助なら何とかなるだろう」

 宮岸さんは私の要望を聞き入れ、華乃鷺へ帰るのを1日伸ばす事にした。