チーフシェフ以外は代わりの人間がいないとオーナーは嘆いた。
 午前中から入っているシェフたちは夜まではいれる事は難しいと言う。

「代わりの人はいないんですか?」

「いないんだよねー。急だからシフト調整が難しいし。せめて調理の補助をしてくれる人間がいてくれたら助かるんだけど」

 ここで奥寺先輩はピーンと来た。

「だったらオーナー、彼を呼びましょう」

「誰を?」

「宮岸徹です」

「あー昨日、トラブル解決の手助けをしてくれた若い男性だね?」