「前に、ハーフだって言ったでしょう?
今は、誰にも気付かれないくらい普通なんだけど……
小さい頃は、今よりもっと色素が薄くておめめパッチリの
可愛い女の子だったの。」

「今でも十分可愛いけどね。」

「もう、茶化さないで聞いて。」

茶化してないと…………変な想像をしてしまう。

「小学1年の夏休みに、お母さんが初めて彼氏を連れて来たの。
その内、同居して………
お母さんがご飯作ってる時に、一緒にお風呂に入ったりして……。
生まれた時からお父さんが居なかったから、単純に嬉しくて
優しい彼が、私も大好きになったんだ。
でも、ある時友達に
『お父さんとキスなんてしないよう!』って言われて………。
それまでお風呂で、洗ってもらったりキスしてたのは
おかしいことなんだって知って…………。
お母さんに話したら………物凄く泣いて『ごめんなさい。』って
謝られて…………。
その日に彼は出ていったの。
子供だったから、どんなことをされたのかは覚えてないの。
でも、綺麗じゃないってことは分かるから。
ごめんね。」

迂闊なお母さんと、その男が憎いと思った。

何も悪くない彼女が、十数年経った今でも………

謝りながら苦しむ姿をどう感じているのだろう。




「みぃは、綺麗だよ。
好きな人とするキス以外は、キスじゃないし
カウントしないんだよ。
僕は、みぃのファーストキスをもらっても良い?」

マジマジと僕を見て

目を閉じた。

さっきは………

キスはもちろん

それ以上進みそうな勢いだったのに

いざ目の前で目を閉じられたら………ドキドキが止まらない。

チュッ。

ファーストキスに相応しい、可愛いキスしか出来なかった。