『海晴先生………。
ドアを開けて貰えませんか?
顔を見たら……………帰ります。……………………お願いします。』

穏やかに話してみると

ガチャッと開いた。

ホッ。

泣き腫らした顔は、今泣いたものではないようだ。

思わず抱きしめたい衝動を押さえて

「お粥とゼリー、それにスポーツドリンクを持って来ました。
胃に入れられるなら、食べて下さい。
……………………上げては…………もらえないですよね?」

強引に上がることも出来るけど

これ以上嫌われては困るから、後ろ髪を引かれる思いで

「しんどい時にごめんなさい。
ゆっくり休んで下さいね。」と言ってドアを閉めようとすると………

「嘘つき……………。」

さっきと同じ呟きが聞こえる。

何を思って言っているのか。

閉じかけたドアを開けて

「嘘つきって何の事?」と聞いてみた。

冷静でいようと思ったのに………いつもの敬語すら出てこない。

ビクリと肩を震わせる。

「帰ろうと思ったんですけど、ちょっとお話しさせて下さい。」