「足は大丈夫ですか?」

昨日の運動会で足を捻り、遊園地を止めて海に行く事にした。

この海で……

唯ちゃんと悠人先生を見かけたんだよな。

失恋のショックを感じない自分に驚いたけど………

あの時既に、海晴先生に恋をしていたんだろうな。

「天気が良くて良かったですね。
先生の名前と一緒で。」

海晴…………。

青い海とキラキラした晴れ間。

まさに彼女だと思ったんだけど……

彼女から返ってきた言葉は、以外なものだった。

「私ね、ハーフなの。」

「えっ?!」

「お母さんの血が濃かったのかなぁ?
髪の色素が薄い事と、人より色が白いくらいで
殆どの人は、気づかないんだけどね。
お父さんは、見たこともなくて
自分の中に外国の血が入ってることさえ忘れてるんだ。
お母さんのお腹に私がいることも知らないで…………
晴れた天気の良い……
まさに今日のような日に、海を渡って帰って行ったんだって。
だから、私はお父さんがいないの。」

「あの……………すみません。」

「別に、航が謝ることはないよ。
私が勝手に話したんだから……………。
小さい時からいつも
仕事を頑張ってるお母さんを支えるのは自分だ!って思ってて
気づいたら、スッゴく気の強い子に育って。
おまけに「お父さんがいないから可哀想」って言われるのも嫌で
悟られないように、人を寄せ付けないで生きてきたんだ。
だけど………
今の幼稚園に就職してからは、今までにないくらい
自分らしくいられる。
5人でいられる今が、ホントに楽しくて仕方がなかった。
だから、航と咲が入って来て……幼稚園のバランスが壊れ始めてからは………
イライラして、正直邪魔な存在だと思った。
でも………
航が唯ちゃんに恋をして、咲が悠人先生を好きになって
揉めてしまったけど………
彩も唯ちゃんもホントの友達になれて
以前よりももっと絆が深まって………安心してたんだ。」