高1の2学期に入ってすぐ
矢倉碧(やぐらあお)という男が
ふらりと1年3組へやってきた。


転校生というわけではない。



もともとこの学校の生徒だが
一学期はずっと学校を休んでいたのだ。



クラスには妙な連帯感が生まれていて
半年近くブランクのある人間には
さぞかし立ち入りづらかろうと
周囲も微妙に気を遣っていたのだが


彼はそんな気遣いが
ばかばかしくなるくらい

あっという間にクラスに溶け込んだ。



それはもう、見事に。



私には

___誰にも言いはしなかったが

高校浪人という引け目があり
彼と比するなら
そんなものは言い訳にもならなかった。



そして


彼の人間関係を構築する
そのスピードは
何色にも染まる

“白”っぽさがあった。