連れてこられたのは、誰もいない体育倉庫の近く。




こんな人がこなさそうな所に連れてくるなんて、やっぱりあたしの勘は正しかった。



ピタリと止まった彼女は、ゆっくりとあたしの方を振り向くとゆるりと口角を上げる。



そして、あたしの方に近づくと




「ねえ、あんたでしょ。王子の彼女って」


あたしを睨みつけると、低い声でそう言った。