「…っ、なんでもない!」 なんだかいたたまれなくなって、顔を思いっきり逸らして背を向けようとした。 のに、 「待って先輩」 いとも簡単に腕を捕まれ、無理やり目線を合わされる。 いつにもない真剣な眼差しに捕まって、息をすることもままならない。 やめて、そんな目で見ないで。 「ねぇ、先輩」 お願いだから、かき乱さないで。 その真っ直ぐな瞳に映るあたしは 「俺、期待していいの?」 確実に、恋をしていた。